#Twitter300字ss 第43回「空」 『雨の裏側』
#Twitter300字ss 第43回「空」
『雨の裏側』
靴の中までずぶ濡れで傘は役に立たない。季節の変わり目に体調を崩し、久しぶりに外出できたと思ったらこれだ。私の雨女っぷりは衰えていないらしい。
オープンカフェの軒から滴る雨水の下で、白いローブが軽快に揺れている。世界の光が集まり、跳ねる音に喜びを含む。そこから異世界に通じていることに気がついた時、向こうも私を見つけた。金色の髪の間から鋭い眼差しを受ける。
妖精の善悪を判断できる知識や勘を、私は持っていない。ただ、この鬱屈とした天気を楽しめるのは羨ましかった。意識が返ってきて、目の前の空に大きな虹が見えた。どこか遠くで陽が降りたのだろう。もやがかかっていた頭がすっきりしている。帰ろう、我が家へ。
#Twnvday 4月14日
#twnvday
— つん (@nekobitainote) 2018年4月14日
「おはようねぼすけさん」
きつね色のトーストに手作りのいちごジャム。甘めのカフェオレを色違いのマグカップにそれぞれ注いで笑う彼と、一緒に朝食をとる休日が私の宝物。
「いただきます」
目が覚める。時計はちょうど十二時をさしていた。休日にだけ彼と会える。
おはようねぼすけさん。
#Twitter300字ss 第42回「遊ぶ」 『おんな、あそび』
#Twitter300字ss 第42回「遊ぶ」
『おんな、あそび』
なめらかな白い背中は、ブラジャーのホックをつけて肩紐を合わせる。毎日行う動作でも、彼女の所作は美しかった。
三十を過ぎた私の背中なんて、ぶよぶよにむくんで、家事のあれこれで凝り固まって、試着もしないで適当に買ってるブラジャーで、無理矢理女を飾っている。
「もっと『女』を楽しんだらいいのに」
悪女のルージュみたいに真っ赤なパンプスへ爪先を押し込める「女」に、残念そうな眼差しで見下ろされる。そうだね、とだけ返事をして、さっきまで溶け合っていた指を絡めた。
若いあなたの理想の人は、端整でとても綺麗なんだろうね。でも、完璧じゃないから私は遊びやすいんでしょう。
次に会う約束だけをして、今日は終わる。
#Twitter300字ss 第42回「遊ぶ」 『いきる、おんな』
#Twitter300字ss 第42回「遊ぶ」
『いきる、おんな』
カフェに買い物にカラオケに。大型連休を女友達とそれらしく遊び歩いて、帰りの電車を待っている時だった。向かいのホームに立つ若い女性の、真っ赤なエナメルのパンプスに目を奪われる。
「お前、女捨てたのかよ」
同棲一年の記念日に放たれた、恋人の辛辣なセリフを反芻する。うなだれて見下ろす私の足元は、真冬の豪雪に備えて買った子供用の防水ブーツ。のっぺりした黒のおでこには遊び心なんて見つからない。
私、ここで終わるのかな。手抜きしてきた訳じゃないけど、本気かどうか聞かれたら、わからない。
下腹部から不安が膨れ上がる。電車に遮られて、あの赤はもう見えない。危険信号を鳴らされたように、足が勝手に走り出していた。
#Twitter300字ss 第41回「新しい」
『新曲』
スマートフォンに繋げたイヤホンから、好きなアーティストの新曲が流れる。ラブソングなんて世の中に溢れているのに、その人の言葉がその人の声で歌われると、朝一番の白湯のように優しく体内に広がった。
昨夜のメールのそっけなさに君は気づいただろうか。恋人になって三回目の春。次のステップを切り出さない態度に、不安を伝えていいのかもわからない。急かせば逃げられてしまいそうで、探りは入れられない。
『ポコン♪』
受信音に反応して画面を開く。同じ曲を聞いていたらしく、短い感想が書かれていた。
「こういう二人になろう」
死が分かつと知りながら共に生きよう。歌詞通りに受け止めてしまおうか考えながら、まずは週末、君に会いたい。
ヘアドネーションってなんだろう
冷たい雨がやむと、春になります。
新しい生活、新しい友人。
心機一転、髪を切ろうと思い立つ人は多いのではないでしょうか。
最近の女性誌はボブやベリーショートを特集しているページもあります。そのとき、ちょっとだけ考えてみてほしいのです。
「ヘアドネーション」
という言葉をご存じでしょうか。病気などの理由から、ウィッグを必要としている子どもたちにその原料となる毛髪を、指定のサロン(美容院)にてカットして提供することです。それぞれの活動団体によって選別や加工をした後に、ウィッグとして子どもたちに届けられます。
一人分のウィッグを作るためには何人かの髪を混合する必要があります。また、セミロングやロングヘアーを希望する子どももいます。髪をアップにして、好きなアクセサリーをつけて、学校で友達とおしゃべりをする。そんな笑顔のために私たちに出来ることがあります。
サロンによって指定の長さは変わってきますが、31cm確保できればヘアドネーションとして髪を提供することが出来ます。対応サロンはネット検索で見つかります。自分がいま通っているところでも対応しているか、問い合わせてみるのが安心です。ヘアドネーションにかかる費用は実費、もしくはサロンによってサービスが変わりますので、そちらも合わせてお問い合わせください。
サロンが協力している団体によって、受け付けている髪の長さが違います。自分で切って送ることも出来ますが、長さが違った場合、残念ながら破棄されてしまいます。そういったトラブルを防ぐためにも、事前の確認は電話やメールなどで必ず行ってから、サロンへ足を運んでください。
人助けでも偽善でもボランティアでもなくて、あなたの笑顔が誰かの笑顔に繋がる。たったそれだけの幸せのおすそわけをしてみませんか。
↑切る前
↑切った髪
↑すっきりした私
ヘアドネーションをしてきました
ヘアドネーションをしてきました
ヘアドネーションとは↓
ヘアドネーションってなんだろう - 猫額の手帖
元々、セミロングを維持していた長さがありましたが、1年前からヘアドネーションをするために長さをそろえ、髪のメンテナンスをしてきました。対応サロンであることを確認してから通い始めたので、ようやくといったところです。
事前の予約の際にヘアドネーションであることを伝え、来店。美容院が行うヘアドネーションに利益はなく、送料などの負担がかかっているそうです。髪を切ったあとの髪型を決めて、束ごとに分けられます。髪の長さは31~40cmでとることができました。
↑これが
↑こうなった
「ご自分で切られますか?」
提案していただき、最初の1束を自分で切りました。朝まで背中に伸びていたものが目の前に横たわる。不思議な距離を感じました。その後は担当美容師さんにおまかせ。雑誌を見ながら「こんな感じでお願いします」とだけ伝えました。ヘアドネーションは流行りつつあるものの、同時にトラブルを抱えることもあり、自己判断よりもサロン(美容院)で相談、カウンセリングをしてから、提供をしてほしいとのことでした。
ヘアドネーション団体との提携サロンは増えてきていますが、その手間やコストから、爆発的に増えるようなものではありません。TwitterやInstagramなどで話題になり、興味を持った人たちが自分で調べてサロンに来店するまでにも、時間や手間がかかります。ですが、その手間隙を私たちがクリアすることで、ウィッグを必要としている人たちの笑顔に繋がります。
その美しい髪を切る前に、ヘアドネーションに興味を持ってみてください(*^^*)
これからまた伸ばしていきます(*´▽`*)