猫額の手帖

猫の額ほどの小さな物語を紡いでいます。

2018-01-25から1日間の記事一覧

#猫額の手帖064

雪解けの町にしなやかな音が響く。せつせつと水に変わっていく途中で生まれるものが、妖精たちの生命力や不思議な力に繋がるらしい。自然そのものを蓄えて生きる姿は、射す光のもとできらきらと輝いている。深呼吸をして冷たい空気を肺に送り込む。私も少し…

#猫額の手帖063

土鍋でお粥を作っているときの湯気は、妖精に好まれる。お米のやわらかい香りと溶き卵が合わさると、それはもう多くの歓喜が聞こえる。美味しい食べものは皆を幸せにするのだ。たまに換気扇の下の取り合いになり、ガスコンロのまわりで喧嘩が起こるのは、危…

#猫額の手帖062

昨晩から気温は下がり、とうとう雪になった。東京に雪が降るのは珍しい反面、降りだすと交通網のマヒを引き起こし、大変な騒ぎになる。待つのも待たされるのも、得意ではない。ココアはすっかり冷めて、私の心もやさぐれかけている。早く会いたい。二人で寄…