猫額の手帖

猫の額ほどの小さな物語を紡いでいます。

#twnvday 12月14日

ツイノベデーに投稿した三作品をまとめました。

 

白詰草の冠』
十六歳を迎えた朝。自国の新たな女王になる姉と隣国の王子へ嫁ぐ妹が、城内の草原に居た。
「大丈夫かしら」
「きっと大丈夫」
服や装飾の違いでしか見分けがつかない双子は、白詰草で編んだ冠をお互いの頭へのせる。
手を取り合い祈る。二人だけで生きられる世界を。

 

『王様の冠』
ごっ、ごっ、ごっ。世界一硬いダイアモンドで何回殴っただろう。きらびやかな部屋で美しい妻の頭部が陥没している。地位も権威も関係なく愛してくれていたはずだった。それなのに農民なんかの子を身籠りやがって。そろそろ司祭が来る。真っ赤な王冠を被り直した。

 

『河童の冠』
人間の子供を拾ってしまった。仲間に知られる前に里へ帰さなければ、とんだ間抜けと笑い者だ。俺がこんなに困っていても、子供はずっと河童の冠を着けたり外したりしている。ちくしょう、そいつのせいで見違えたんだ。「これをかぶるとシャンプーがこわくないよ」