#猫額の手帖043
限りある時間の中で愛を伝えるにはどうしたらいい。四つ葉の魔除けを定期入れに忍ばせる。小麦を七粒のせて、胸の前で両手を握る。
— つん (@nekobitainote) 2018年1月3日
「律儀な愛情は悪くないよ」
囁く声がして目を凝らす。緑色の羽をのばして、からかうような瞳で妖精が見ている。答えてはいけない。だけど、お願い。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/x0exI8QXVZ
#猫額の手帖042
憧れがあった。ブランコをやめない子供、しかる親。帰り道に繋ぐ大小の手。愛情は無償で与えられ、それが当たり前であること。
— つん (@nekobitainote) 2018年1月2
私とは違う世界の話。
帰れない家、花びらのように身体中に咲く痣、かん高い母の罵声。あれは悪魔に憑かれていたのだ。死ぬまでずっと。そうでなければ。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/vfbGcn9pzP
#猫額の手帖041
旅をするならどこだろう。風の気持ちいい山、あたたかな湯気の立ち上る温泉、マイナスイオンたっぷりの滝。妖精が様々な形で寄り添いながら生きていて、人間が忘れてしまった大切なものを語り継ぎ、時に厳しい姿で説き伏せる。私たちは世界のごく一部として呼吸を繰り返している。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/jzLklDEPdL
— つん (@nekobitainote) 2018年1月1
#猫額の手帖040
「一緒に暮らそう」
— つん (@nekobitainote) 2017年12月31日
大きな悲しみと不自由な涙を流す私を、同居人は優しく撫でてくれた。冷え症のひんやりした手にすがりつき、もうこれ以上、心を壊すことはしたくないと願った。日々は常にバランスの悪い世界に存在する。穏やかであるのは難しい。私は彼とこれからを生きていく。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/d1rdS9sgAg
#猫額の手帖039
「好きだよ」とメールをしかけて削除した。この気持ちは、言葉は、機械や妖精の力を頼ってはいけない。伝えることが苦手な私たちは何度もすれ違い、悪魔はいともあっさりと同居人の心を溶かして飲み込んだ。宿る暗闇に勝てる術をまだ知らない。だから今は、あなたを抱きしめたい。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/ZPwUnBP91l
— つん (@nekobitainote) 2017年12月31日
#猫額の手帖038
世界に色が戻った日、妖精の姿は当たり前に存在していた。曇りのない空を悠々と泳ぎまわり、私のそばで笑っていた。最初はとうとう気がおかしくなったのかと思った。精神安定剤や睡眠導入剤の類いで変わるものはなく、それを事実として受け入れた。足元で咲く花が綺麗だったから。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/J4LIXsdPJ0
— つん (@nekobitainote) 2017年12月30日
#猫額の手帖037
病院から処方された薬を、朝昼晩就寝前と、欠かさずに飲み続けらるのは、一回でも忘れたらあっという間に向こう側へ連れていかれる恐怖心があるから。笑い合い嗤い合う、おかしな世界は、ほんのすぐ裏側に存在している。美しいだけに恐ろしい妖精たちと、私は寄り添い生きていく。 #猫額の手帖
— つん (@nekobitainote) 2017年12月29日