#twnvday 3月14日
初恋は珈琲みたいだ。砂糖、ミルク、焙煎時間、豆の産地、ドリップ方法。いくらでも味を変えられる。それは思い出されるあの時間が、酸っぱかったり苦かったりするのと似ている。
— つん (@nekobitainote) 2018年3月14日
「ブラックコーヒーばかりだと胃を痛めるよ?」
珈琲を飲めないあなたの味は、もしかしたら紅茶かもしれない。#twnvday pic.twitter.com/95Pj2cPEQu
#twnvday 2月14日
#twnvday 黒渕の冷たさに掌の感覚がおかしくなる。棺の中の夫は見事なまでに白一色で、タキシードより似合わない。本人もわかっていて、プロポーズの時に着ていたスーツ姿で笑っている。
— つん (@nekobitainote) 2018年2月14日
「迎えに来たよ」
遺影を滑り落としながら、その胸に飛び込んだ。 #twnovel
#twnvday 最近のデート服は黒のワンピース。こんなおばさんが可愛い色を選んでいいはずがない。向かい合って座る恋人が口を開く。
— つん (@nekobitainote) 2018年2月14日
「白も似合うと思うからさ」
テーブルへ置かれた鈍器のような雑誌の表紙には、真っ白なウェディングドレスが輝いていた。 #twnovel
#Twitter300字ss 第39回「試す」
#Twitter300字ss 第39回「試す」
2回目の参加です。
#猫額の手帖 と同じ世界の妖精が出てくるお話です。よろしくお願いします。
『リボン』
ジャンル・オリジナル
http://nekobitainote.hatenablog.com/entry/0203tw300ss01
『試しの行為』
ジャンル・オリジナル
http://nekobitainote.hatenablog.com/entry/0203tw300ss02
『試しの行為』
銀のスプーンが綺麗に磨かれた横で、木くずを入れられたホットミルクが冷めていく。我が家には先日からコボルトという妖精がいる。ブラウニーやシルキーと比べいたずら好きで、ひとつ良いことをしてひとつ迷惑なことをする。叱るべきかわからず悩んでいると、張り詰めた空気に変わる。
(裏切り者)
幻聴だ。足早に和室へ行くと伏せてあるはずの遺影と目が合う。
「きしし」
笑い声が聞こえ、低い口調で返した。
「あなたとは共生できない」
子供の癇癪のようにどたどたと足を踏み鳴らす。どこまでなら許されるか試したのだろう。がしゃんっ、と窓が開いて冷たい風が部屋へ押し寄せる。悪意の前で笑える私はもう居ない。身震いをしながら呼吸を整えた。
『リボン』
「これ、試着してもいいかしら」
梱包をといた後の紫色のリボンを見つけて、小さな妖精が問いかけてきた。猫じゃらしになるだけなので了承すると、くるりと回り体に巻き付けていく。妖艶で美しい。スマートフォンのカメラを構えたくなるが、そもそも写らないのだと自分をなだめる。
「とてもお似合いですよ」
微笑みかけると彼女は嬉しそうに踊り始める。指先までなめらかにしならせると、ほのかな芳香が広がる。スミレだ。昨今の寒さに肩をすくめすぎて、慢性化していた頭痛が和らぐ。思いがけず恩恵を受けたので、素敵なリボンはそのまま持っていってもらうことにした。
春が近づいて、花の妖精が動き始める。賑やかな季節を迎える準備をしようか。
#猫額の手帖064
雪解けの町にしなやかな音が響く。せつせつと水に変わっていく途中で生まれるものが、妖精たちの生命力や不思議な力に繋がるらしい。自然そのものを蓄えて生きる姿は、射す光のもとできらきらと輝いている。深呼吸をして冷たい空気を肺に送り込む。私も少しは元気になれるだろう。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/18katz95ha
— つん (@nekobitainote) 2018年1月24日
#猫額の手帖063
土鍋でお粥を作っているときの湯気は、妖精に好まれる。お米のやわらかい香りと溶き卵が合わさると、それはもう多くの歓喜が聞こえる。美味しい食べものは皆を幸せにするのだ。たまに換気扇の下の取り合いになり、ガスコンロのまわりで喧嘩が起こるのは、危ないのでやめてほしい。 #猫額の手帖 pic.twitter.com/nigwNbq2gy
— つん (@nekobitainote) 2018年1月23日